
暗号資産関係のニュースで、「PoS」という言葉を見かけた。
なんだか重要そうだけど、いったい何のこと?

ビットコインの弱点を克服するために考え出された、革新的な仕組みです。
今後の暗号資産業界の勢力図を変えるかもしれませんよ。
近年、暗号資産(仮想通貨)関係で、よく「PoS」という単語が話題になります。
この「PoS」とは、今後の暗号資産の勢力図を大きく変えるかもしれない概念です。
暗号資産に投資するのであれば、PoSについても理解を深めたうえで、投資対象のコインを選ぶことが大切です。
そこでこの記事では、「PoS」とは一体何なのか、これまで主流だった「PoW」とどう違うのか、などといった投資家が知っておくべき知識を、初心者でも理解しやすいようにまとめました。
- PoSとは、ブロックチェーンにおける合意形成の方法の一つ
- 暗号資産を、より多く、長期間保有している人に報酬が付与される
- 従来のPoWは、環境への悪影響への懸念が度々指摘され、価値の上昇の足かせになることがあった。
- PoSは環境負荷の面でPoWより優れており、今後の暗号資産では主流になる可能性もある。
「PoS」とは?

まずは、そもそもPoSとは何かについて、概要を大まかに解説します。
「PoW」や「PoS」というのは、それぞれ、ブロックチェーンにおける合意形成の方法の一つです。
ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの暗号資産(仮想通貨)は、ブロックチェーンという管理者のいない台帳に、取引の履歴が記録されます。
ブロックチェーンには管理者がいないため、悪意のあるユーザーが、偽の取引を記録しようとする可能性があります。
それを防ぐために、ブロックチェーンに記録する取引内容を、「PoW」や「PoS」などといった方法で、大勢で合意形成することにより、偽の取引の記録を防いでいるのです。
「PoS」はプルーフオブステイク(Proof of Stake)の略
PoSとは、プルーフオブステイク(Proof of Stake)の略です。
「proof」は仮想通貨のマイニングにおける「承認」を表します。
また「stake」には、「賭ける」という意味があります。
「コインを、より多く、より長く持っている人に報酬を付与する」という理念で考案されました。
コインを持っている(ステーキングしている)量に応じて、ブロック承認の成功率が決まる仕組みです。
これだけではわかりにくいので、マイニングの仕組みについても少しご説明しましょう。
PoSはマイニングの承認システムの1つ
マイニング(mining)とは、「採掘」という意味です。
元は、金などの鉱山で鉱石を掘り出すことを示す言葉です。
ブロックチェーンのネットワークに参加してデータ計算などを行うと、報酬として暗号資産(仮想通貨)を得ることができます。
この作業が、金の鉱石を掘り出す作業と似ていることから、マイニングと呼ばれるようになりました。
特定の管理者がいないブロックチェーンで改ざんの無いデータを維持するためには、「大勢の目で取引を監視すること」が必要です。
新たな取引データをチェックして承認する仕組みを「コンセンサスアルゴリズム」といいます。
このコンセンサスアルゴリズムの1つが、「PoS」なのです。
「PoW」と「PoS」の違い

「PoW」とは?
ビットコインのコンセンサスアルゴリズムは「PoW」です。
「PoW」とは、プルーフオブワーク(Proof of Work)の略で、 大まかには「より多くの計算処理をした人にコインを付与する」という仕組みです。
ビットコインは、世界中のマイナーに複雑な計算をさせることで、極めて改ざんされにくいブロックチェーンを実現しています。
PoWの問題点
しかし、この「複雑な計算」が大量の電力を消費するため、環境に悪影響を及ぼす可能性も否定できません。
そして、環境への悪影響の懸念が、ビットコインの足かせになることがあるのです。
例えば、アメリカのテスラ社は、自社製品である電気自動車の販売にあたって、ビットコイン決済を導入していました。
しかしテスラ社のCEOイーロンマスク氏が、環境への悪影響を理由にビットコイン決済を停止すると発表し、ビットコインの価格が大きく下落したこともあります。(2021年5月12日)
また、PoWは、量子コンピューターなどの計算技術のイノベーションにより、堅牢性が破られるリスクも否定できません。
ビットコインで採用されている「PoW」には、このようなリスクがあるのです。
「PoS」は「PoW」の問題点を解決する?
環境への悪影響の懸念が指摘されがちな「PoW」に対し、「PoS」は、「コインを、より多く、より長く持っている人に報酬を付与する」という仕組みです。
「PoS」では複雑な計算をする必要はなく、「PoW」のように消費電力は大きくありません。
大企業は、環境への配慮を社会から要請されています。
「PoW」を採用するビットコインは、環境への悪影響を社会から非難される可能性があり、大企業にとっては採用しにくいのです。
その点、「PoS」は電力消費が少なく、環境負荷の面で社会から非難されることはないでしょう。
そのため、PoWを採用するビットコインよりも、PoSを採用する他の暗号資産(仮想通貨)の方が、将来大企業とのコラボが増えると筆者は見込んでいます。
PoSには「51%攻撃」の危険はあるのか?
悪意のあるマイナーがブロックチェーンの承認処理を半分以上支配することで、不正なブロックを承認させてしまう攻撃を「51%攻撃」といいます。
ビットコインはPoWであるため、マイニングのために膨大な計算が必要です。
世界中のマイナーが常時膨大な計算を行っているため、悪意あるマイナーが一人で計算能力の半分以上を独占することは、まず不可能だと言われています。
この堅牢性が、ビットコインの信頼の源なのです。
それでは、PoWではなくPoSを採用する暗号資産(仮想通貨)には、51%攻撃のリスクはあるのでしょうか?
理論上は、PoSであっても、51%攻撃はありえます。
ただし、PoSの暗号資産(仮想通貨)に対して51%攻撃を行うためには、極めて大量のコインをステーキングする必要があるため、莫大な資金が必要となります。
そして、万一51%攻撃が報告されたらコインの価値は暴落するので、攻撃者にとってはメリットよりもデメリットの方が大きくなります。
このように、PoSを採用する暗号資産への51%攻撃は、ハードルが非常に高いうえに、攻撃者が大損することになるので、攻撃する人はいないだろうと考えられています。
PoSを採用している暗号資産(仮想通貨)は?

PoSを採用している暗号資産には、カルダノ(ADA)、テゾス(XTZ)、コスモス(ATOM)、トロン(TRX)などがあります。
PoSを採用する暗号資産は、ステーキング報酬やマーケット流通量、スケーラビリティなどに対する期待が高まっていることから、2020年頃から人気を集めています。
また、暗号資産(仮想通貨)以上で時価総額2位を誇るイーサリアム(ETH)は、近々「イーサリアム2.0」へとアップデートされる予定です。
「イーサリアム2.0」は、コンセンサスアルゴリズムをPoWからPoSへ移行することが決まっています。
イーサリアムは、PoSの実装に向けて、事前にいくつかのアップグレードが行われますが、そのアップグレードのたびに価格が大きく上昇しています。
投資家の期待の高さが窺えます。
アルトコインの王者であるイーサリアムが、PoWからPoSに移行すれば、価値は更に高騰することが予想されます。
暗号資産(仮想通貨)の王座をビットコインから奪う可能性すらあると筆者は考えています。
PoSについてのまとめ

「PoS」とは暗号資産(仮想通貨)マイニングの承認方法の1つで、「PoW」のデメリットを解消するシステムです。
PoSを採用する暗号資産(仮想通貨)はまだ多くないですが、イーサリアムを筆頭に、今後PoSへ移行する予定のコインもあり、将来性は十分にあります。
購入する暗号資産を選ぶ際には、コンセンサスアルゴリズムも意識して選ぶと、将来の値上がりを予測できるかもしれません。